Cinema Clip

ネタバレだらけの映画感想。和洋問わず古い作品が多め。

『人間蒸発』

人間蒸発 [DVD]


1967年
監督:今村昌平
出演:露口茂、早川佳江(一般人)

これはドキュメンタリーですがフィクションです。
これはドキュメンタリーですがフィクションです。

大事なことなので2回言ってみた。
当然台本は無し。盗撮盗聴なんでもありモザイク・音声処理もほぼ無しで今なら間違いなく人権侵害で訴えられます。
こんなのよく作ったと思う。


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さて、ついに60年代までさかのぼってまいりました。

この露口茂という役者さんは『太陽にほえろ』の山さんでおなじみ。私にとってもこのお方は完全に『山さん』なので、ここでもそう呼ばせていただきます。
そんな山さんが、まだ山さんになる前の作品。
ただのドキュメンタリーだと思って観るとド肝を抜かれる。


突然姿を消してしまった婚約者を探している早川佳江。ドキュメンタリーなので早川さんは早川さん本人として出演。婚約者も実際に姿を消してしまった人です。ちなみに早川さんは今村組から『ネズミ』というあだ名をつけられている。確かにねずみっぽい顔をしている。気の毒なあだ名だ。
山さんは何者かというと、ネズミの後見人であり簡単に言えばレポーター的存在である。ネズミと共にあちこちに潜入したり盗聴器を隠し持って撮影に挑んだりとかなり大変な役回り。

山さん、なんか小動物っぽい!もぐもぐしててかわゆい。

右にいるのがネズミです。負オーラ全開。


婚約者の実家まで行ったり職場を訪ねたりして聞き込みをするネズミと山さん。で、ベタですけどこの婚約者が実は金遣いが荒かったり大して仕事が出来なかったり、大酒飲みだったり女にだらしがなかったりという非常に残念な人物像が浮かび上がっていく。
ネズミは婚約者とはお見合いで知り合い、彼の素性をよく知らなかったのだ。

途中でキミちゃんという女性が出てくる。、彼女は婚約者が付き合っていた女性だが、二股かけられた挙句にふられている。ところがキミちゃん、彼の子を身篭っていたという噂があり、それまで大人しめだったネズミは容赦なしにガンガン問い詰める。キミちゃんは身篭り説を否定。
で、このシーンは盗撮である。キミちゃんには一応目の部分に処理かけられてるけど犯罪ですよねこれ。キミちゃんの彼氏も一応処理かけられてるけど会社名はバッチリ出てるし処理の意味がほとんどない。

更に浮かび上がったのはネズミの姉・サヨさん。ネズミとサヨは幼い頃から大変仲が悪かったらしいが、どうやらこのサヨが、ネズミの婚約者の「2号さん」ではないかという話が出てくるのだ。
山さんを間に挟み話し合う二人だがサヨはしらばっくれる。ネズミの姉に対する憎しみは深まるばかりでネズミ大号泣。『みんな不潔よ!山さんも不潔よ!』と言い出す始末。山さん何もしてないのに酷い言われ様。

ここまでが前半で、肝心の婚約者の行方は全く掴めない。監督は『これじゃ映画として面白くねえなあ』と言い出す。そんな事言ってもドキュメントなんだから仕方ないんだが。
ネズミと山さんはワイドショーに出演したりして、ついに公開捜査に踏み切る。
さあ、こっからがこの映画の本番で、フィクションの始まりである。

監督はある事に目をつけた。

監督『ネズミさー、もしかして山さんのこと好きなんじゃね?』


えっ?

山さん『僕もそんなような気はするっちゃするんですけどー・・・』


二人とも、ネズミの婚約者探しに対する情熱が段々薄れている事を感じていた。つまりその原因が、もしネズミの気持ちが山さんに傾いているせいという事になると・・・この映画の目的が完全に変わってしまうわけですよね。って事はこの映画ここで終わっちゃうんじゃないの?
と思いきや、それを面白がって『ここを掴まなきゃ!!』とノリノリの監督。
そんな監督の横で、まさかの展開に開いた口が塞がらない山さん。

『(マジかよ・・・・・)』


山さん自らご本人に確認したところ、案の定婚約者の事はどーでもよくなり山さんを好きになっていたネズミ。そんなネズミに『人って、自分を演出するような部分があると思うんだよね』と諭すように話す山さんだが、どうやらネズミは本気らしい。
というか、ネズミはワイドショー出演以降は特に、一般人ではなくほとんど女優のような言い方、振る舞いをしている。山さんとのデートシーンも見た感じはほとんど演技をしているようで、とても一般人の出ているドキュメンタリーには見えない。むしろ薄々わかっちゃいたけどほんとに告られちゃった山さんの方こそドキュメンタリー。平静を装っているように見えてかなり動揺している模様。そりゃそうだ。

さて、ここから映画の趣旨は大きく変わり、早川姉妹の確執に焦点が当てられる。
なかなか話の進まなかった前半に比べて後半はジェットコースター。ほんとに一般の人なの?と疑いたくなる証言者が現れたり、果ては得体の知れない霊媒師まで現れる。
そしてやはり、姉は婚約者と関係を持っていたのではないかという結論へ達する。

姉妹対決再び。またもや間に挟まれる山さん。
くたびれているのか?どこか遠くを見つめてます。

『(早く終わらないかな・・・・)』


実はこの映画、撮影に7ヶ月もかかっているのだ。
その上こんな姉妹に挟まれてたらそりゃくたびれるよ。

姉にガンガン攻め込むネズミに対し、全てを否定する姉。激しい罵り合いで埒があかない。途中から重要な証言をしたお魚屋さんと監督も参戦。お魚屋さんは、2年前に姉と婚約者が歩いているところを見た、とハッキリ姉の前で証言するが、姉は知らん知らんの一点張り。
これではいつまで経っても決着がつかない。

ネズミ『監督、真実って何でしょう・・・』
監督  『  わ  か  り  ま  せ  ん  !  』 ←



えーっ!!驚
ここまでやっといてわかりません、ってそんなアンタ・・・・!!

突然『セット外せ!』と怒鳴る監督。
ガタガタと外されていくセットの壁。普通の部屋と思われていたその場所は、なんと日活の撮影所のセットだったのだ。何だこれは。

表に出て、証言者たちと討論になるネズミたち。
野次馬がぞろぞろ集まり、全員一斉に喋りだしてもう誰が何言ってるんだかさっぱりわからないカオスな様子はかなり笑えた。



結局婚約者なんか見つからなかったし、姉と婚約者がどうゆう関係だったのかも明らかにはならず。証言者のお魚屋さんはブチ切れて帰っちゃうし完全にとっちらかりっぱなしな状態で映画は終わりを迎える。

何と言っていいやらわからんが、結局人の記憶なんてのは曖昧で、真実を突き止めるなんて事はできやしないのだと。ちょっとこじつけな感じがしますけど、でも実際にこのドキュメンタリーは、ドキュメンタリーとして崩壊している。
っていうかね、たぶん撮影の途中から収拾のつかない状況になってしまったんだと思うけど、でも監督の狙いは最初からネズミ自身の本性にあったんではないかと。で、更にしらばっくれな姉が出てきたもんだからそっちのが楽しくなったのかね。よくわからんが。でもそうゆう、女の中身晒すみたいなの好きだよね今村さん。

で、そもそも何で後見人として山さんを起用したの?って話なんだけど、ネズミを山さんに傾けさせるのが最初から狙いだったんじゃねーかとすら思う。だってそりゃ、何ヶ月も山さんみたいな人とずっと一緒に行動してたらさ、そりゃー間違いなく惚れるだろ。
しかし山さんもよくこんな危険な映画に出演したものだ。これだけ盗撮盗聴してたら途中で訴えられてもおかしくない。


ラストでも言ってるけど、映画はここで終わるが実生活は終わらない。山さんはここでお役御免になるが、ネズミの方は一般人なので、実生活の中で山さんを好きになった気持ちはこの後どうしたんだろうねえ。
自分も演じてる、という上での告白だったならすぐ忘れちゃうだろうけど。


最後に渋過ぎるワンシーンを貼っておく。←自己満足

昭和な黒縁眼鏡+スーツ+タバコ。


渋いわー。

山さん眼鏡なしだと小動物だけど眼鏡の時は超絶渋かった。

というか山さん、視力が悪いのかほとんど眼鏡かけてた。そうゆう意味ではおいしい映画だった。


人間蒸発 [DVD]

人間蒸発 [DVD]

『風が強く吹いている』



2009年
監督:大森寿美男
出演:小出恵介林遣都渡辺大津川雅彦 他

箱根駅伝を舞台にしたスポ根映画。
あまり期待せずに観たんだけど、意外と良かったよ。


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思ったよりスポ根スポ根しててちょっと驚いた。
ルーキーズを駅伝にしてみました、みたいな。

万引きして逃走していたところ、小出くんと偶然出会った林くん。小出くんは大学の弱小長距離部の主将で、林くんの走りを見て『こいつだ!』と思い立ち即行勧誘。無理矢理下宿先へ連れて帰る。
下宿先の住民は若干チャラい双子、ヘビースモーカー、運動音痴のマンガヲタ等、とても箱根を目指せるようなメンバーではなかった。斉藤兄弟はどえらい濃口顔に成長したな。ソースです!!って感じ。
しかしそんなメンバーをうまぁ〜い事まとめていく小出くん。メンバーは練習に励み、最初はツンケンだった林くんも徐々に本気を見せ、仲間意識も芽生えていく。

林くんは高校でも陸上をやっていたが、顧問とソリが合わず問題を起こし、そのまま退部。一方小出くんの方は有能な選手であったが、故障が原因でくすぶってしまっていた。

そして予選をギリギリ9位で通過。
後半1時間はほぼ箱根駅伝のシーンになります。

陸上やってる人や過去に駅伝に出た経験があるなんて方は結構胸が熱くなるんではないですかね。私は運動音痴で長距離なんて不得意中の不得意ですが、それでも駅伝のシーンは釘付けになった。
映像もとてもリアルで、ほんとに正月の箱根駅伝を見ている気分。
ただ最後がねー、くどいよねえ・・・そこまで引っ張らんでもええやないか。っていうかここで感動させて泣かせよう!って魂胆が見え見えで、それまで結構ワクワクして観てたのに最後の最後で一気に冷めてしまった。
そこ以外は良く出来てるスポ根ドラマって感じで途中退屈する事もなく。スポ根ものってあまり観ないんですけど、たまには良いね。

カメオがなかなか豪華で、林くんの高校の陸上部顧問が寺脇康文が出てきたり、敵側の顧問でいきなり近藤芳正が出てきたり。どこかで聞いた声だなと思ったら鈴木京香だったり。
クレジットに和久井映見の名前もあって『えっ、どこに出てた?』と思って調べたら、メンバーの一人のお母さん役で声のみの出演だった。すんごい訛りの入った喋り方だったので誰だか全くわからなかった。

小出くんの台詞だけ妙にクサいのが最後まで気になった。リーダー格なので多少クサくなるのは仕方ないかもしれないけどどうにも浮いてるっつーか。スポ根の台詞ってこんなもんなのかね。
林くんはランニングフォームがむちゃくちゃキレイで本物の選手みたいだった。運動神経良いんだろうなあ。台詞回しはたどたどしかったけどまだまだこれからの人だし、まあ良いじゃない。
津川雅彦は『実は昔凄い選手だったのだ!』みたいな事実が出てくるのかと思ってたら普通のおっさんのまま終わってしまった。



いやしかし、小出くんは良いですなー。同い年なんだけどね。
最近の若い人は線が細いよなあ・・・って事で、若い俳優さんにサッパリ興味の持てない私は映画の最初の方を見てて途中で観るのやめてしまうかもしれないな、と思ったんだけど。
器の広い役どころだったせいもあるかもしれんですが、見た目に反して(見た目はかわいい系だよねどちらかといえば)妙な貫禄と包容力みたいなものを醸し出していた。で、時々わりと渋い表情をしたりする。
これは将来、ひょっとするとひょっとするかもしれませんな。
期待大。

『きな子〜見習い警察犬の物語〜』


2010年
監督:小林義則
出演:夏帆寺脇康文遠藤憲一浅田美代子 他

小さい頃から父親に憧れ警察犬の訓練士を目指していた杏子(夏帆)と、落ちこぼれ見習い警察犬きな子の成長物語。実話が元になってます。

わんこ好きなら一度観て損はないかと。


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見習い警察犬の物語っていうか見習い警察犬訓練士の話。

きな子は元々警察犬には不向きと思われていた落ちこぼれなんですが、そんなきな子を担当するのが訓練士を目指す夏帆
夏帆のお父さん(エンケン)は同じく警察犬の訓練士で、ラブラドールレトリバーの子を担当していたわけですが、きな子もラブラドールって事で思い入れも強い夏帆は、きな子の担当に自ら志願。
しかし訓練士への道のりは簡単なものではなかった。

実話ですからこんな事言っても仕方ないんですけど、ベタで全体的に平たい印象。
しかし犬ものには弱い私。雨の中夏帆のところへ走ってくるシーンで涙ちょちょ切れ。あのねー、動物物は普段あんまり観ないんですよ。ずるくて悔しくなるから。どうしたって可愛いもんは可愛いし。
どうせこんな感じで泣かせるんだろう?と、わかっていながらいざそのシーンになるとまんまと泣いてしまうという。
制作側の思うツボ。

見習い警察犬と見習い訓練士。ペットとして可愛い可愛いだけで接すればいいわけではない。練習がうまく行かず試験でも結果を出せず苛立ち、うまくいかない事をきなこのせいにしてしまい、そして自分の事でいっぱいいっぱいできな子の体調の変化にも気付けなくなってしまったり、自分を責めて挫折もする。
だいたい話の先は読めてしまうし映画としては個人的には物足りなかったんですが、しつこいようだけどきな子は文句なしに可愛いし、主人公の成長物語としてもきれいにまとまっていると思う。わかりやすいので何にも考えずに観られるし。

子供からお年寄りまでファミリー揃って難なく鑑賞するにはちょうど良い。
そして犬を飼いたくなる。

ほぅ〜ら、可愛いだろう?



きな子はどのシーンも表情がとても良い。この子の表情に泣かされるわけですよ。

あと寺脇さんの娘役の子は小憎たらしい感じが似合ってて面白かった。


とにかく犬ものはずるいよ。
このDVDを貸してくれた方も大変な犬好きさんですが、借りる時にどうだったかと聞いたら『いや、まあそんな大した事は・・・ごにょごにょ・・・』と口ごもっていた。
感動したわけですね。わかります。

それにしても脇が寺脇康文エンケンさんに平田満ってそれ何ですかおっさん好きも狙っているのかい?


きな子~見習い警察犬の物語~ [DVD]

きな子~見習い警察犬の物語~ [DVD]

『チルドレン・オブ・ホァンシー』

チルドレン・オブ・ホァンシー 遥かなる希望の道 [DVD]


2008年
監督:ロジャー・スポティスウッド
出演:ジョナサン・リス=マイヤーズ、ラダ・ミッチェル、チョウ・ユンファ 他

1930年代後期、イギリス人のホッグは日本軍に侵略されていた南京にジャーナリストとして訪れていた。攻撃に巻き込まれ負傷したホッグは、日本軍の手がまだ伸びていない黄石の養護施設へ送られるが・・・・

これは是非観ていただきたい秀作。


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何が凄いってこれ全部実話だ、っていうね。

ジャーナリストのホッグは南京で虐殺の惨劇を目の当たりにしショックを受けつつ、必死で写真を撮り続けるものの、日本軍に見つかり斬首されかける。
そこへ颯爽と現れホッグを助けるユンファ!!はあああああんユンファ渋いかっこいい!!!
ユンファは共産党のリーダー的存在であり、国民党と対立していた。ユンファに助けられ斬首を逃れたホッグだが、再び日本軍に攻撃され負傷。ユンファの友人であるリーに看護される。

前線に出るユンファについていこうとするホッグだが、怪我をした事と中国語がまだへたっぴな事を理由に連れて行ってもらえない。その代わりに、まだ日本軍の攻撃を受けていない黄石へ送られる。
そこは食料もまともにない、日本軍に親を殺された孤児たちが集まる養護施設だった。

珍しい外国人に興味津々の子供たちはホッグの言う事を全く聞かず、特にボス格のシーカイはホッグを敵視。こんなところに送られて不本意なホッグも出て行きたがるが、そこへリーが現れる。彼女はこの黄石に数ヶ月に1度食料や薬を届けていた。
子供たちに不安を与えないために、ノミ取り薬の実験の際リーにすっぽんぽんにされるホッグ。それを機に子供たちとホッグの間の壁は少しずつ取れ、ホッグも子供たちが住みよい施設にできるよう、電気を通したりバスケゴールを作ったりと努力する。
気がつけばホッグは子供たちの先生的存在になり、子供たちも見違えるほどにイキイキと生活していた。
ところがホッグが気に入らないシーカイは電気を通す機械を破壊。シーカイは元々はいいとこのお坊ちゃんだったが、父を日本軍に殺され、母と姉も強姦された挙句に殺されてしまい完全に心を閉ざしてしまっていたのだった。
でも自分の取り巻きまでもがホッグの電気修理を手伝っている姿を見て、少しずつ変わっていくシーカイ。本当は寂しくて誰かに甘えたくて仕方なかったんだよね。

一方、前線で戦っていたユンファだったがついに彼らにも撤退命令が出る。仲間たちやリーを逃がし自分だけアジトに残るユンファ。そしてアジトごと爆撃!!!
さよならユンファ・・・かっこいい最期だったよ・・・

と思ったら黄石に突然現れるユンファ。あの爆撃で死ななかったんかい!凄いな。しかしユンファはマラリアにかかっており、黄石でリーの看護を受けつつ療養。ユンファとリーは元々は恋人同士だったのです。
しかし国民軍が黄石へやってきた。ユンファを連れに来たのか・・・と思いきや、彼らは施設の子供たちに目をつける。子供たちを徴兵させようって事ですね。
子供たちを絶対に戦場へ送りたくはないホッグは、子供たちを連れてシルクロードを徒歩で渡り逃げる覚悟を決める。
ところがみんなで出発準備を進めている最中、チンという少年が自殺してしまう。おそらく『逃げる』という言葉にトラウマがあったのであろう、と。チンは真っ先にホッグになつき英語を教わり、教わった英語を他の子に教えてあげたり、小さい子の面倒もよく見るとっても良い子で、このシーンはかなりショックでした。
そしてシーカイはユンファにかなり感化されたようで、ユンファもシーカイに一目置き銃を持たせる。これが原因でホッグとユンファの意見の違いがちょいちょい出るようになりちょっと険悪。

60人もの子供を連れた旅が始まります。
その間、日本の偵察兵と一触即発になったりシーカイが偵察兵を殺しちゃったりホッグとユンファが言い争ったり、標高3000メートルの雪山で吹雪に見舞われたりいろいろとございます。
そして移動中に日本軍にバッタリ!パニックの中、日本軍を攻撃しようとしたシーカイは横転した荷車の下敷きになり命を落とす。それを機に、ユンファはホッグの元を去っていった。

やっとこさたどり着いた蘭州で車を貸してもらえる事になり快適な車移動!砂漠の移動シーンが素晴らしくて感動。子供たちもこんな気持ちで眺めていたんだろうなあ・・・


しかし途中で車が故障し修理している最中、今度は竜巻に見舞われる。ホッグは軽いかすり傷で済んだものの、この傷がやがて悲劇を生む事になる。

ついに目的地にたどり着き、使われていない寺院に住む事になったホッグたち。しかしホッグは破傷風で倒れてしまう。子供二人がサイドカー爆走させて蘭州まで血清をもらいに行くが、二人が戻ると、空には人の死を意味する凧があげられていた・・・


これが実話だという事は、エンドロールでわかります。
ホッグに連れられシルクロードを渡った子供たちの多くが生存しており(公開当時)、本人たちがホッグの事を語っているのです。何の予備知識もないまま観てたのでかなり衝撃だった。これが実話だなんて・・・・イギリス人が60人もの中国人の子供を連れてシルクロード横断したなんて、まさかほんとにあった話だとは思わないじゃないか。総距離1000キロだよ?

元々ジャーナリスト魂はあったものの子供たちを助けようなんて気持ちはこれっぽっちもなかったホッグが、生活を改善させようとする事で子供たちの心を開いて遊びも勉強も含めいろんな事を教え生きる活力を取り戻させて、気がつけば自分の全てを子供たちのために投資している。そんなホッグの姿も、どんどんイキイキしていく子供たちの姿も、見ていてもう胸が熱くなってしょうがない。
日本軍が鬼畜過ぎて日本未公開作品って事で、日本人にとってかなり見るのが辛いシーンもありますけど、目を逸らさずに見ましょう。実際にあった事ですんで。
その日本軍の日本語がカタコト過ぎて聞き取れないとかいう点はまあ横に置いといて・・・いや、さすがに聞き取れないほど酷いとちょっとあれか。まあでもこの映画に限った事じゃないし・・・

ユンファは渋くて貫禄あって超かっこいい最高。
監督の名前が変わってるね。スポティスウッド。すぽてぃすうっど。言いにくい。


チルドレン・オブ・ホァンシー 遥かなる希望の道 [DVD]

チルドレン・オブ・ホァンシー 遥かなる希望の道 [DVD]

『クレイマー、クレイマー』


1979年
監督:ロバート・ベントン
出演:ダスティン・ホフマンメリル・ストリープ、ジャスティン・ヘンリー 他

仕事バリバリ一筋のダスティンは、大きなスポンサーとの契約を取ってウッキウキで帰ったその晩、メリルに突然別れを告げられる。そしてメリルは一人息子のビリーまで置いて出て行ってしまった。
父と息子、二人きりの生活が始まるが・・・


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最初に観た時はメリルママのあまりの身勝手さに腹が立ったものですが、何度観てもそれは変わらないw
今は多少、あの内面崩壊してる感じとか、家で子育てと家事だけして不満を感じる気持ちはわかるようになったけども。

さて、家庭を顧みず仕事に没頭してきたダスティンパパ。突然妻のメリルに出て行かれ息子も置いていかれ、仕事と子育て両立の生活が始まります。
初めて息子と共同作業で作るフレンチトースト。おそらく料理なんてまともにやった事もないであろうダスティンは卵もまともに割る事ができず殻が入り(しかもマグカップに割って入れている。パンにつけれないじゃんw)、挙句焦がしてしまい早速つまずく。息子ビリーには事あるごとに『ママはああだったこうだった』と言われ、自宅で仕事の邪魔をされダスティンイライラ。子供に向かってガッデムガッデム言い放題である。
会話しても一緒に買い物に行っても父子の息は合わず、ビリーも父に対する不満とママのいない寂しさを募らせ、二人の間はギクシャクしてゆくのだった。

そんな二人の生活も8ヶ月たったある日、ダスティンは仕事で大きなヘマをやらかしてしまう。仕事とビリーの面倒の両立がうまくかず、仕事に支障が出るようになっていたのだ。
二人のイライラはついに爆発。お互い八つ当たりし大喧嘩になってしまう。しかしそれがきっかけで父子の気持ちは通じ合い、二人の生活と関係は徐々に変化していく。

気がつけば完全にスーパー子煩悩パパになっていたダスティン。家庭を顧みず仕事一筋だった昔の姿はどこへやら。

ハロウィンパーティーで台詞が出てこない我が子を見て、心配のあまり客席から台詞を教えちゃうダスティンパパ。



我が子の自転車の練習に首からカメラぶらさげて付き合い、そして我が子より大はしゃぎのダスティンパパ。

パパテラカワユス!


ところがある日大事件発生!ビリーを公園で遊ばせていたダスティンだったが、メリルのママ友・マーガレットとお喋りをしていて目を離した隙にビリーがジャングルジムから落ちて頭を怪我してしまう。
ダスティンはビリーを抱え、信号も無視して病院へ猛ダッシュ。医師に頼み込み必死でビリーの治療を見守る姿は完全に父親であり、母親でもあった。ほんと、あんなに仕事バカだったダスティンが・・・・・人って変わるもんですね。感動。

しかしそんな二人の生活の様子を、影からひっそり覗き続けていたホラーなメリルママ。そんなメリルに気付いたダスティンは久々に二人で話をするが、そこで驚きの一言を告げられる。

『ビリーを返してほしい』

今更そんな事言われて『ああそうですがわかりました』なんて当然納得できないダスティンはブチ切れ、メリルの申し出を突っぱねる。見てるこっちも憤慨です。てめー自分の一時の感情だけで家庭を捨てたくせに何をのこのこと!!
しかしメリルも身を引くつもりはない。
お互い弁護士を立て、ドロ沼の親権争いが幕を開ける。
父と子のコミカルな生活が、この親権争いから一気に緊迫し重たい空気へと一変する。

ダスティンはそんな矢先に、会社をクビになる。『辞職』という形ではあるが、仕事が疎かになりミスが目立つようになり、平社員への格下げを命じられたのだ。それはつまり、それなりの地位にいたダスティンにとっては実質『クビ』と同じ事だった。
裁判を前に失業してしまったダスティン。親権争いで『無職』となっては勝ち目はない。ダスティンは求職の少ない年末時に必死で就活。給料は大幅減になるものの、やっとこさ職にありつける。

重苦しく緊迫した裁判が始まる。
メリルの言い分は全て『自分の気持ち』が第一であった。家庭を顧みない仕事一番のダスティンに不満を持っていた事、いつも『誰かの妻であり母である』事に不満を感じていた事、あの頃の自分ではビリーを連れていってもビリーのためにはならないだろうと考えた事。今は仕事もしていて恋人もいて、ビリーを育てる事ができる。
ビリーの面倒を5年も見てきた自分に対し、ダスティンはたった18ヶ月である事。
そんなメリルの言い分を、怒る事なく静かに聞き入れるダスティン。ビリーと喧嘩した時も言ってたけど、ダスティンは自分のせいでメリルを追い込んだっていうのはちゃんと受けとめてたんだよね。だからこそダスティンは変われたんだと思うけど。
それにしたって勝手過ぎるぜメリルママ。弁護士にあれこれ突っ込まれとまどい、自分の考えがしっかりまとまっていない印象もある。

証人台に立ったマーガレットは最初こそメリルのお友達であり味方であったが、この18ヶ月の間ダスティンとビリーの関係をずっと見守ってきた。今は手放しでメリルの味方をする気にはなれない。マーガレットに『昔とは違う。二人の今の関係はとても素晴らしい』と訴えられたメリルはショックを隠せない。

ダスティンの言い分。
元々短気な性格のダスティンは、会社をクビになった原因など弁護士に痛いところを突きまくられ、口調はかなり感情的になっていてそこも突っ込まれる。それでも言ってる事は全て『ビリーが、ビリーが』である。『自分が、自分が』であるメリルとは決定的に違うんです。
ビリーが熱を出したせいで仕事を早退しスポンサーを逃してしまった事を突っ込まれ、『子供が40℃の熱を出しているのに放っておけと!?』と激怒するダスティン。この一言で、ダスティンが18ヶ月でどれだけ父親として変わったかっていうのがわかるよねえ。メリルもその変化に驚き、またショックを受ける。

子供も想う気持ちは、父でも母でも、男でも女でも変わりはない。
だけどやっぱり『母親』という立場はそれだけで強い。
ダスティンは裁判に負けてしまう。

ダスティンはビリーに成り行きを説明し、『ママのところで暮らすんだよ』と諭すが、このシーンが何度見ても涙もの。この映画もう何度も見てるんだが毎度泣けてしょうがない。というか、こっから先泣きっぱなしである。
だってあんなにママママ連呼してたビリーがさ、パパと離れたくなくて泣いて『嫌になったら帰ってきてもいい?』とか言うんだよ!ダスティンにとってもビリーにとっても、この18ヶ月間の二人の生活がいかに濃密で大切であったかっつーね。
お互いマイナスな気持ちからスタートして、それを徐々に克服しながら信頼し合いながら深めてきた絆は、親子云々を超えた深いものがある。
メリルは『私は5年も育ててきた』とか言ってたけど、期間の長さなんて関係ないね。

最後に二人で作るフレンチトースト。最初に二人で作ったのもフレンチトースト。
最初は嫌々、息も合わずくっちゃくちゃになって作ってたのに、最後は別れがつらくてお互いがお互いを見ないのに息ピッタリでちゃっちゃと作っている。これがまた泣ける。

そしてついに、メリルがビリーを迎えに来るが・・・・・


ダスティンの、人として、親としての成長。
夫婦の関係、子供の気持ち、親子の絆。この映画には、『家族・家庭』についてのいろんなものが詰まってます。笑って泣けてほのぼのして、そして考えさせられる。
ちょっと古い映画ですが、若い人にも是非観ていただきたい一品。
名作です。


しかし、最後の最後に気持ちが通じ合いながら復縁、とはいかないあたりが、当時のアメリカの離婚問題がいかに深刻だったかってのを表してるような気がするなー。

ダスティン・ホフマンを『ダスティン・ホフマン』としてきちんと認識したのは『卒業』という映画を観た時が初めてでしたが、その時は『頭身のバランスの悪い人だなあ』という印象が凄く強くて、それほど魅力的とは思えなかった。
だけどこの映画だとそんな事も全く気にならないという不思議。というか、すんごいかっこいい。すんごい魅力的。役と完全にシンクロしてて、徐々に成長していく姿にどんどん惚れていく。
これ観たらもー愛さずにはいられない。
今は品があってとっても素敵なおじーちゃんだよね。

ビリーを演じたジャスティン・ヘンリーも超絶可愛くて演技というかほぼ感情だけでやってる感があってかなりリアル。お見事です。こんな子役はなかなか・・・その後はあまり振るわなかったようで残念ですが・・・

ちなみに音楽も良い。
たぶん映画観た事なくても、私くらいの世代の人はテーマ曲なら知ってるって人多いのでは。昔やってた明石家マンションで使われてたからね。
てれれれてれれれてれれれてれれれてれれれてれれれてってん♪
サントラのジャケットもかわゆい!