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Cinema Clip

ネタバレだらけの映画感想。和洋問わず古い作品が多め。

『アナザー・カントリー』

アナザー・カントリー [DVD]

1983年
監督:マレク・カニエフスカ
出演:ルパート・エヴェレットコリン・ファース、ケアリー・エルウィズ


ロシアのスパイになった男の学生時代を実話を基に描いた、元々は舞台劇の作品。
全体的にどんより暗い。
好き嫌いが分かれそうな映画ですが、私は大好きです。

 

1930年代、イートン校で寮生活を送るガイは、ある日別の寮の生徒・ハーコートに一目惚れ。お友達のジャドや他の生徒に度々忠告されるが聞く耳を持たず、ハーコート一直線。
ところがある日、ハーコートへ宛てた手紙が来期寮長を狙うファウラーの手に渡ってしまい、ムチ打たれた挙句、来期代表の座も失ってしまう。
同性愛者であるという事だけで未来を閉ざされたガイは復讐心を燃やし、ジャドの共産思想に興味を持ち・・・

というところで、年老いたガイの回想は終わります。
そこから何故スパイになったのかという経緯は描かれていません。
上映時間は約一時間半なので、もう30分くらい使ってその辺を描いても良かったんじゃない・・・?と思ったけど、たぶんやけくそでしょう、ガイは。
復讐心メラメラでそのままジャドに感化され、突っ走ってしまったんじゃないかと。

映像が綺麗。光と影を上手く使って、寮内の重苦しい、じっとりした雰囲気が良くわかります。
ホモ映画といってもそういった描写はほとんど無く(ボートの上で抱き合ってるぐらい)、特権階級争いのドロドロとか、親友・ジャドとの友情の方が印象的でした。

ガイは代表になりたくて派手ベストまで用意してるのに(特権階級に属する生徒は派手なベストを着用できる)、不真面目だったり反抗的だったりと、いろいろと性格に問題有り。あれでは、別に同性愛がどうのこうのがなくても、うまい事いかなかったんじゃないかと思う・・・
冷たい事言うと、自業自得なんですよね。私もファウラーは大嫌いだけど、こうなっても仕方なかったよ。
ガイ役のルパートはあまり好みでは・・・(ごめんなさい)でも彫りが深くて、横顔なんて彫刻みたいでえらい美しかった。ガイの大胆で繊細な雰囲気が良く似合ってました。

ハーコートは出番が少なくて存在感が薄い。ガイの相手役なのに・・・と思ったら、舞台版ではこの役は無いんですねー。
ガイとお食事してる時の彼のALL上目遣いには若干引きましたが、ボートの上でガイを見上げるハーコートは大変可愛かった。
でも上着脱ぎながらガイのボートに来る時の顔は怖すぎてホラーだった。

私のお気に入りは筋金入りの共産主義者・ジャド。
※(2011.08.05追記)『英国王のスピーチ』でアカデミー賞を取ったコリン・ファースが演じてます。
彼の映画デビュー作がこのアナザーカントリーです。

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私がガイだったら、ハーコートに惚れる前にジャドに惚れてます。間違いなく!
冒頭の追悼式でのもの凄いカメラ目線。あの目は人も殺せます。
特権階級には一切興味は無く、夜中にこっそり『学校では教えてくれないから』とマルクスを読み、勉強の際にはレーニンのちっこい像を必ず持ち歩き(この辺ちょっと可愛い)特権階級の生徒には気味の良い嫌味を吐く。
ガイのために自分の信念を曲げるところも、実は友達想いなのねーって感じで素敵。
お気に入りのシーンは数知れず。上の他にも下級生に優しくしてあげるところや夜中にこっそり戻って来たガイを驚かせるところ、愚痴りに来たバークレーに説教するところ等。というかジャドの出演シーンほぼ全てお気に入り状態。とにかくいう事やる事かっこいいのよ!!
あと若いのに声が異常に低いのもポイント高い。

ガイとジャド、全く正反対の性格。
同性愛者と共産主義者、種類は違えど同じ異端者。だからってわけでもないけど、なんだか妙に合ってる。
突っ走る系のガイをやんわり見守るジャド。
良いなあ、こういう二人。

当時、同性愛といえば大犯罪でした。ガイの他にもマーチノという同性愛者の生徒がいて、彼もバレてしまい自殺。ここから話が大きく動いていくわけですが。

ところで、この特権階級制度(制度?)、これがちょっと難しいんです。
細かい事がわからなくても、大まかにわかっていれば問題は無いです。
私も一応、話がわからないほど全く知識が無いわけではなかったので大丈夫でしたが。ここまで好きになったら細かい所まで調べないと気が済まない!
という事で、いろいろ調べまくりました。

とりあえず、この映画の中の流れはこんな感じ↓

まず、現在の代表のバークレーとデラヘイが卒業するので、来期はメンギースが代表兼寮長、ガイが代表兼幹事、デブニッシュ(なんか気の毒な名前だ)が幹事・・・となる予定でした。
ところが、同性愛者である事がバレたマーチノという生徒が自殺した事により、デブニッシュが中退する事に。ここから話が動いていきます。
皆の嫌われ者・ファウラーが寮長の座を狙い始め、それによりガイの代表の座は危うくなる。
代表になるには寮長の指名がなければならない。ガイはファウラーに嫌われているのです。
メンギースは来期寮長としての地固めをするために、寮長を支持する幹事を確保しなければならない。
そこで、ジャドに幹事を依頼・・・・

と、これくらいわかってくると、映画の内容もわかりやすいし、入り込めやすいです。

結局、デブニッシュが『幹事じゃ無理だけど代表になれるなら中退をやめてもいい』とか言い出したせいで、ジャドの幹事の話は無くなり、ガイの代表の話も無くなってしまいます。
最後、ジャドがメンギースとデブニッシュに吐く嫌味が凄く印象的。

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