Cinema Clip

ネタバレだらけの映画感想。和洋問わず古い作品が多め。

『はつ恋』

王様の耳はイタチの耳


2000年
監督:篠原哲雄
出演:田中麗奈原田美枝子平田満真田広之


突然の母(原田美枝子)の入院、父(平田満)と二人きりの生活にとまどう聡夏(田中麗奈)。
ある日、母が大切にしていたオルゴールの中から一通の手紙を見つける。それは、若い頃の母が父ではない誰かに宛てたラブレターだった。
聡夏はこの『誰か』を探す旅に出る。

この映画大好きだ!!!


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テレビの二時間ドラマで十分、と言われる類のものかもしれません。でも私はこの映画が大好きだ!映像はきれいだし雰囲気もいいし、音楽もいい。音楽は久石譲なので間違いはないんですが。サントラ買っちゃったよ。

この映画の主人公は娘の聡夏ですが、本当の主人公は父と母、そして母の昔の恋人だと思う。
そして、1つの家族の物語だと思う。


聡夏がやっとの思いで辿り着いたのは、小汚いボロアパート。そして蓄膿持ちの小汚いオッサン・藤木(真田さん)。
逃げる藤木を捕まえようと、聡夏は執念深く藤木を追いかけます。しかし逃げられ、逆に後をつけられてしまい、藤木は聡夏ママ・昔の恋人志津枝が入院している事を知る。

投函されなかった母の手紙。『願い桜の木の下でもう一度会いたい』
母のかつての願いを叶えるべく、どうしても母と藤木に再会して欲しい。しかし藤木は今じゃパチンコ三昧で年金・税金を滞納してボロアパートに住む汚いオッサン。このままでは夢が壊れる!こんなオッサンお母さんに会わせられない!
聡夏の藤木改造計画が始まります。最初は迷惑がってた藤木も段々聡夏のペースに流され、心に揺れが生じてくる。


この聡夏と藤木のやりとりが秀逸!

王様の耳はイタチの耳

会話や表情が二人とも凄く自然で、親子のような恋人のような。テンポも良くてバッチリ噛み合ってます。観ていてとても可愛らしい!田中×真田コンビ良いですね。また共演してくれませんかね。

早朝から藤木を叩き起こしジムで走らせ、エステにまで連れて行く。エステ中まんざらでもなさそうな藤木が笑える。エステ後、聡夏に『元は良いんだね〜』と言われる。そりゃそうだ。元は真田広之だぜ。
余談だけど、ジムの後カプセル?に入ってて出てきた時の藤木は上半身裸だったわけですが、あんた鍛えんでもええやないかと言わざるをえない見事な腹筋の割れっぷりでした。さすがですな。

二人で喫茶店に入り、『おまえも何かしろよ』と命令される聡夏。新宿のど真ん中で、イヤミの『シェー』をやらされる。この時の藤木の表情!!なんとも言えない表情しとるの。表情と眼だけの演技は真田さんの真骨頂だねえ。
どうして聡夏に『シェー』をやらせたのか、聡夏の『シェー』を見てどうしてあんな顔をしたのか、それは後にわかります。

藤木と聡夏の交流を軸に話が進むにつれ、どんどん登場人物の心理が掘り下げられていく。
娘の気持ち、母の気持ち、父の気持ち、藤木の気持ち。娘の帰りが遅い事を心配してつい叩いてしまい、ギクシャクする父との関係。父・平田満が哀愁溢れて大変切ない。母の病名は最初から最後まで明かされない。でも父の表情で全てがわかる。
この映画の良いところは、各人物を中心にして何度も観れて、違う物語を味わえるところだと思ってます。


ラストの桜のシーンはとても美しいです。このシーンのためだけにでもスクリーンでやった甲斐があったと思う。
観終わった後、親の事や恋愛の事をいろいろ考えさせられます。そして久石譲の音楽がずっと頭から離れない。
観覧車のシーンと、藤木の『なんでこの手紙を出さなかったと思う?』『俺はもらいたかった』の一言で私の心臓はドーン!でした。なんと切ない!!

幼さの残る田中麗奈がすっごくいいです。凄く自然体で良かった。
あとやっぱり枯れてる真田さんは良いね!かっこいいね!ボサボサ頭に適当な服、ぶっきらぼうな感じがいいね!私はこの映画の真田さん大っ好き。
アクションバリバリの真田さんももちろん好きなんだけど、こうゆう庶民的な真田さんも見たいんだよなー。