Cinema Clip

ネタバレだらけの映画感想。和洋問わず古い作品が多め。

『クレイマー、クレイマー』


1979年
監督:ロバート・ベントン
出演:ダスティン・ホフマンメリル・ストリープ、ジャスティン・ヘンリー 他

仕事バリバリ一筋のダスティンは、大きなスポンサーとの契約を取ってウッキウキで帰ったその晩、メリルに突然別れを告げられる。そしてメリルは一人息子のビリーまで置いて出て行ってしまった。
父と息子、二人きりの生活が始まるが・・・


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最初に観た時はメリルママのあまりの身勝手さに腹が立ったものですが、何度観てもそれは変わらないw
今は多少、あの内面崩壊してる感じとか、家で子育てと家事だけして不満を感じる気持ちはわかるようになったけども。

さて、家庭を顧みず仕事に没頭してきたダスティンパパ。突然妻のメリルに出て行かれ息子も置いていかれ、仕事と子育て両立の生活が始まります。
初めて息子と共同作業で作るフレンチトースト。おそらく料理なんてまともにやった事もないであろうダスティンは卵もまともに割る事ができず殻が入り(しかもマグカップに割って入れている。パンにつけれないじゃんw)、挙句焦がしてしまい早速つまずく。息子ビリーには事あるごとに『ママはああだったこうだった』と言われ、自宅で仕事の邪魔をされダスティンイライラ。子供に向かってガッデムガッデム言い放題である。
会話しても一緒に買い物に行っても父子の息は合わず、ビリーも父に対する不満とママのいない寂しさを募らせ、二人の間はギクシャクしてゆくのだった。

そんな二人の生活も8ヶ月たったある日、ダスティンは仕事で大きなヘマをやらかしてしまう。仕事とビリーの面倒の両立がうまくかず、仕事に支障が出るようになっていたのだ。
二人のイライラはついに爆発。お互い八つ当たりし大喧嘩になってしまう。しかしそれがきっかけで父子の気持ちは通じ合い、二人の生活と関係は徐々に変化していく。

気がつけば完全にスーパー子煩悩パパになっていたダスティン。家庭を顧みず仕事一筋だった昔の姿はどこへやら。

ハロウィンパーティーで台詞が出てこない我が子を見て、心配のあまり客席から台詞を教えちゃうダスティンパパ。



我が子の自転車の練習に首からカメラぶらさげて付き合い、そして我が子より大はしゃぎのダスティンパパ。

パパテラカワユス!


ところがある日大事件発生!ビリーを公園で遊ばせていたダスティンだったが、メリルのママ友・マーガレットとお喋りをしていて目を離した隙にビリーがジャングルジムから落ちて頭を怪我してしまう。
ダスティンはビリーを抱え、信号も無視して病院へ猛ダッシュ。医師に頼み込み必死でビリーの治療を見守る姿は完全に父親であり、母親でもあった。ほんと、あんなに仕事バカだったダスティンが・・・・・人って変わるもんですね。感動。

しかしそんな二人の生活の様子を、影からひっそり覗き続けていたホラーなメリルママ。そんなメリルに気付いたダスティンは久々に二人で話をするが、そこで驚きの一言を告げられる。

『ビリーを返してほしい』

今更そんな事言われて『ああそうですがわかりました』なんて当然納得できないダスティンはブチ切れ、メリルの申し出を突っぱねる。見てるこっちも憤慨です。てめー自分の一時の感情だけで家庭を捨てたくせに何をのこのこと!!
しかしメリルも身を引くつもりはない。
お互い弁護士を立て、ドロ沼の親権争いが幕を開ける。
父と子のコミカルな生活が、この親権争いから一気に緊迫し重たい空気へと一変する。

ダスティンはそんな矢先に、会社をクビになる。『辞職』という形ではあるが、仕事が疎かになりミスが目立つようになり、平社員への格下げを命じられたのだ。それはつまり、それなりの地位にいたダスティンにとっては実質『クビ』と同じ事だった。
裁判を前に失業してしまったダスティン。親権争いで『無職』となっては勝ち目はない。ダスティンは求職の少ない年末時に必死で就活。給料は大幅減になるものの、やっとこさ職にありつける。

重苦しく緊迫した裁判が始まる。
メリルの言い分は全て『自分の気持ち』が第一であった。家庭を顧みない仕事一番のダスティンに不満を持っていた事、いつも『誰かの妻であり母である』事に不満を感じていた事、あの頃の自分ではビリーを連れていってもビリーのためにはならないだろうと考えた事。今は仕事もしていて恋人もいて、ビリーを育てる事ができる。
ビリーの面倒を5年も見てきた自分に対し、ダスティンはたった18ヶ月である事。
そんなメリルの言い分を、怒る事なく静かに聞き入れるダスティン。ビリーと喧嘩した時も言ってたけど、ダスティンは自分のせいでメリルを追い込んだっていうのはちゃんと受けとめてたんだよね。だからこそダスティンは変われたんだと思うけど。
それにしたって勝手過ぎるぜメリルママ。弁護士にあれこれ突っ込まれとまどい、自分の考えがしっかりまとまっていない印象もある。

証人台に立ったマーガレットは最初こそメリルのお友達であり味方であったが、この18ヶ月の間ダスティンとビリーの関係をずっと見守ってきた。今は手放しでメリルの味方をする気にはなれない。マーガレットに『昔とは違う。二人の今の関係はとても素晴らしい』と訴えられたメリルはショックを隠せない。

ダスティンの言い分。
元々短気な性格のダスティンは、会社をクビになった原因など弁護士に痛いところを突きまくられ、口調はかなり感情的になっていてそこも突っ込まれる。それでも言ってる事は全て『ビリーが、ビリーが』である。『自分が、自分が』であるメリルとは決定的に違うんです。
ビリーが熱を出したせいで仕事を早退しスポンサーを逃してしまった事を突っ込まれ、『子供が40℃の熱を出しているのに放っておけと!?』と激怒するダスティン。この一言で、ダスティンが18ヶ月でどれだけ父親として変わったかっていうのがわかるよねえ。メリルもその変化に驚き、またショックを受ける。

子供も想う気持ちは、父でも母でも、男でも女でも変わりはない。
だけどやっぱり『母親』という立場はそれだけで強い。
ダスティンは裁判に負けてしまう。

ダスティンはビリーに成り行きを説明し、『ママのところで暮らすんだよ』と諭すが、このシーンが何度見ても涙もの。この映画もう何度も見てるんだが毎度泣けてしょうがない。というか、こっから先泣きっぱなしである。
だってあんなにママママ連呼してたビリーがさ、パパと離れたくなくて泣いて『嫌になったら帰ってきてもいい?』とか言うんだよ!ダスティンにとってもビリーにとっても、この18ヶ月間の二人の生活がいかに濃密で大切であったかっつーね。
お互いマイナスな気持ちからスタートして、それを徐々に克服しながら信頼し合いながら深めてきた絆は、親子云々を超えた深いものがある。
メリルは『私は5年も育ててきた』とか言ってたけど、期間の長さなんて関係ないね。

最後に二人で作るフレンチトースト。最初に二人で作ったのもフレンチトースト。
最初は嫌々、息も合わずくっちゃくちゃになって作ってたのに、最後は別れがつらくてお互いがお互いを見ないのに息ピッタリでちゃっちゃと作っている。これがまた泣ける。

そしてついに、メリルがビリーを迎えに来るが・・・・・


ダスティンの、人として、親としての成長。
夫婦の関係、子供の気持ち、親子の絆。この映画には、『家族・家庭』についてのいろんなものが詰まってます。笑って泣けてほのぼのして、そして考えさせられる。
ちょっと古い映画ですが、若い人にも是非観ていただきたい一品。
名作です。


しかし、最後の最後に気持ちが通じ合いながら復縁、とはいかないあたりが、当時のアメリカの離婚問題がいかに深刻だったかってのを表してるような気がするなー。

ダスティン・ホフマンを『ダスティン・ホフマン』としてきちんと認識したのは『卒業』という映画を観た時が初めてでしたが、その時は『頭身のバランスの悪い人だなあ』という印象が凄く強くて、それほど魅力的とは思えなかった。
だけどこの映画だとそんな事も全く気にならないという不思議。というか、すんごいかっこいい。すんごい魅力的。役と完全にシンクロしてて、徐々に成長していく姿にどんどん惚れていく。
これ観たらもー愛さずにはいられない。
今は品があってとっても素敵なおじーちゃんだよね。

ビリーを演じたジャスティン・ヘンリーも超絶可愛くて演技というかほぼ感情だけでやってる感があってかなりリアル。お見事です。こんな子役はなかなか・・・その後はあまり振るわなかったようで残念ですが・・・

ちなみに音楽も良い。
たぶん映画観た事なくても、私くらいの世代の人はテーマ曲なら知ってるって人多いのでは。昔やってた明石家マンションで使われてたからね。
てれれれてれれれてれれれてれれれてれれれてれれれてってん♪
サントラのジャケットもかわゆい!